作品解説倶楽部

活動内容

  1. コレクション展の解説
    企画展開催期間中の火・水・木の午後2時、日曜日・祝日の午前11時と午後2時からコレクション展の解説を行います。
  2. 学校・地域との連携・ガイドボランティア
    美術館と共同して、随時、企画展・コレクション展の解説を行います。

活動報告

活動報告一覧

 

2013年10月のある日のコレクション展示室

さて宇都宮美術館が誇る傑作のひとつ、マグリットの《大家族》をご一緒に見て行きましょう。
鳥と大家族ってどんな関係があるのかしら?
マグリットは「絵は題名の図解ではないし、題名は絵の説明ではない」という言葉を残しています。その言葉を受けて何か感じられますか?
えっ。私はいつも題名を読んでから絵に入るきっかけを探りますが?
マグリットには否定されましたか。
絵を見て「心を震わせてほしい」ということが画家の望むところではないでしょうか。そのための第一歩としてこの絵に描かれているモチーフを言葉にしていただけますか。
曇り空、青空、海、光った水平線。
わかり易いモチーフがたくさん描かれていますね。どれをとってもそれ自体は何の不思議も無いものですが、それが画面上でぶつかり「どこか変」と思われますね。そこから何かしら不思議な感覚、第六感とも言うべき感覚を味わいましたか。それこそマグリットミラクルなのです。
この絵スーパーの看板みたい。
それは!なかなかすばらしい視点ですね。マグリットは油絵だけでなく、今は使われていませんがサベナ航空のマークや広告、その他にもカジノの壁画などにもすばらしい仕事を残しています。それは人の目を捉える技に長けているともいえますね。《大家族》にもその才能は生かされているということでしょうか。それでは質問です。海面に鳥のうつりこみが見えてきましたか?
えーっ。
見えた。見えたよ!
どこに?
海面が青空色に染まっている部分があるねー。
となると曇り空のうつり込みは表現されているのでしょうか?
残り全部かな?マグリットにもっとよく見てって言われた気がします。
確かにそうですね。左上にちょっとポイントありですよ。さて描かれた水面を見ながら水中にも思いを巡らしてみましょう。マグリットの仲間たちは水面下を潜在意識と捕らえていました。
そうなると光っている水平線にも意味がありそうですね。
絵との対話が始まりましたね。ではマグリットの言葉をもう一つ「眼に見え手で触れることの出来るものは、必然的に眼に見える別の何かを隠している」です。ヒントになりますか。

この後も絵とキャッチボールが続きます。球の落としどころをストレートにするかフォークボールにするのかはお客様次第です。是非「解説体験」をオススメいたします。

つづく